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老後資金2000万円は青森でも必要なのか

2019年に金融庁が発表した「高齢社会に置ける資産形成・管理報告書」では高齢者世帯で退職後に公的年金以外に資産が2000万円必要であると、メディアで取り上げられてセンセーショナルに伝えられました。

私も2000万円も貯められる自信がありませんので、徹底的に調査してみました。

老後資金2000万円問題とは

報告書の具体的な内容は、「平均的な年金受給額で平均的な消費活動をすると毎月5万円以上の赤字になり、90歳までに2000万円の資産を使い切る計算になる」という推計でした。しかしこの推計はあくまで全国平均から導き出されたもので、各地方での実態と合っているとは言えない内容だったのです。

老後資金を準備する上で大事なのは、「月々の生活費が最低いくら必要か」です。地域が異なると生活に必要とされる物品・サービスに違いがあり、しかも物価の違いも影響して、月々の生活費は大きく変わります。

光熱費で比べてみると、冬場は灯油・電力とも消費が増えて高額になるうえに、夏場は30℃を超える日も多くなってきてクーラーの出番も多くなっているため、年間を通してみると青森県の光熱費は2割ほど平均より高くなっています。

逆に食料品で比べると道の駅などで手に入る地場の野菜・魚介・肉類など生鮮食品の価格の安さ(もちろん味も)は目をみはるものがあります。。青森県は本当に地産地消に恵まれた地域ですね。スーパーで手に入る普通の食材も、都心部から比べると常にセール価格のような金額です

このように地域ごとに計算すべき内容を全国平均の金額だけで語ってしまったのが論争の火種だったと思われます。

実際どのくらい貯めたらいいの?

では青森県での老後の資金はどのくらい準備したらいいのでしょう?具体的な金額は公的機関からは出されていませんので、統計データをもとに計算してみます。

支出額を計算してみる

70歳以上夫婦2人世帯の、全国平均の消費支出は月に23.5万円とのデータが出ています。青森県の同条件のデータはありませんので、青森市で公開している全国と青森市の消費支出の対比表から比率で計算してみます。

全国 青森県
食料 ¥64,521 ¥51,629
住居 ¥13,658 ¥9,451
光熱・水道 ¥19,309 ¥24,136
家具家事用品 ¥9,419 ¥7,912
被服及び履物 ¥6,593 ¥5,538
保健医療 ¥15,541 ¥13,987
交通・通信 ¥27,551 ¥22,041
教養娯楽 ¥24,961 ¥18,720
交際費 ¥27,315 ¥27,315
その他 ¥26,609 ¥26,609
合計 ¥235,477 ¥207,340

令和2年 青森市と全国の勤労者世帯1世帯あたり1ヶ月の収入と支出より 比率を計算して試算

全国平均と比べて、3万円ほど安いですね。青森県で夫婦2人で健康的な生活をおくるために必要な生活費は20.7万円という計算結果になりました。

収入額を計算してみる

共働きで夫婦ともに県平均の年収と仮定すると年金受給額は月当たり23万円(青森県の平均受給額より算出)。ここから健康保険料や税金が引かれ、月20万円程度が年金として振り込まれます

必要な貯蓄を計算してみる

必要な生活費と比べてみると7000円の赤字です。蓄えを崩しながら30年生活する事を想定すると285万円ほど貯蓄が必要ということが算出できました。

金融庁発表の2000万に比べると、青森県の平均年収でも現実的な金額ですね。これなら私もがんばれそうです。

節約するならどこを削る?

7000円の赤字ということは、7000円だけ節約できれば貯蓄を切り崩さずに生活が出来る、という意味でもあります。節約のしがいがありそうですね。給与所得がある間でも同じですが、娯楽関係の費用がまっさきに削られるのはやはり運命なのでしょう。

統計データを見てみると教養娯楽費のうちの「教養娯楽サービス」が支出の5%、金額にして月平均1万円程度の出費になっています。こちらの費目はゴルフ、カラオケ、パチンコなどの代金。生活のうるおいがなくならない程度に削っていければ節約効果は高そうです。どうしても店舗や施設へ出向くタイプの趣味はコストが高くなりがちですので、自宅で出来る娯楽が節約には向いているように思います。在宅の趣味で低コストで楽しめるものとして、動画配信サービスで映画鑑賞などいかがでしょう?

また、通信費の比率が大きいのも気になりますね。スマートフォンなどの通信費は全国一律の金額設定なため、収入が低い青森県民にとって家計への負担が大きめです。専門的な知識が必要になりますが、格安SIMや大手キャリアの格安プランなどへの乗り換えも検討してみてはいかがでしょうか。スマートフォン1台で月5000円安くなるケースもあります。

そしていちばん大事なのは「健康」です。まず体調管理をして病気にならないこと。そして病気が見つかっても早期発見早期治療できれば医療費は大幅に抑えることが可能です。地道ではありますが運動習慣を作り暴飲暴食を避け、定期健診をマメに受けることが節約につながります。

住居費には注意

金融庁の統計データでも、住居費は極端に安い金額になっているのですが、これは高齢者で賃貸住宅で生活している人が全国で1割程度しかいないためこのような数値になっています(持ち家は修繕費、マンションは共益・修繕積立金がこの項目で集計されています)。大半の方は70歳までにローンも終えられているんですね。

賃貸住宅では家賃がそのまま赤字額に足されることになるため、まるまる貯蓄切り崩しということにもなりかねません。平均的な年金収入に家賃5万円の場合、金融庁の推計通り2000万程度の蓄えがないと老後資金が尽きてしまう計算。年金収入ですべてまかなう家計を想定すると、持ち家の方が暮らし向きは良さそうです。

住宅を軸に老後の生活設計をお手伝いします

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きたやましんご
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